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TOPページ > 痔・大腸肛門病の先進的な治療法について > 痔核−結紮切除術
このコンテンツは、辻仲院長編著による医師向け専門書「大腸肛門病ハンドブック」から一部を抜粋して紹介
させて頂いております。
なお、専門医向けの内容であるため、一般の皆様には難解な記述もあり、文中にはリアルな画像が含まれて
おります。 ご理解の上、閲覧していただくようお願いします。
■ 結紮切除術
図1 治療対象、手術適応
図-1
図2 痔核の実例写真
図-2
 内痔核の治療対象となるものは、まず手術適応を前提にすると(図‐1)のように出血、脱出、疼痛が主症状であり、その他付随して違和感、残便感、瘙痒感、貧血などを伴う。このうち手術の真の適応はGoligherV度以上で脱出するもので、保存的治療で症状が改善しないものとなる。
 図‐2は代表的な内痔核V度の痔核の写真であり、多少の皮垂を伴うが、移行上皮から直腸下部の痔核粘膜はくりかえす脱出と便による力学的摩擦により発赤充血している。
 痔核の基本的な治療のアルゴリズムを図‐3に示す。ALTAは硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸(ZIONE;三菱フェルファーマ製)を用いた4段階注入法を示す。まずは薬物治療、排便指導から始まり、小さな出血性の内痔核にはフェノールアーモンドオイル(PAO Scle)による注射療法であるいはMcgiveney 痔核結紮器を用いてゴム輪結紮を行う。これには索引式、吸引式、あるいは内視鏡などで用いられるEHLなどもある。以上の治療で無効なものが古くから手術適応となることに異説はない1)2)。この痔核手術に要求されるものは、病的痔核組織の摘除により、肛門を正常に近い状態に復元することである。しかし、切除しすぎると狭窄をきたすことも多く、痔核3ヶ所切除の場合には、各切除部の間の肛門上皮は1p以上残すことが望ましい3)
 痔核結紮切除法はMilligan-Morgan法4)とも同じと考えられるが、それは痔核組織そのものを切除して痔核の根部を結紮する、いわば縦方向に行う手技に対して、PPH法は横方向に下部直腸粘膜を切除して痔核組織を切除せず吊り上げ固定する方向である5)。図‐4に示すシェーマの様に考え方、手術原理がまったく異なるため、手術適応も異なることが必然である。
図-3 図-4

図-5
 まず痔核手術に当っては、視診、触診、肛門鏡などで痔核の性状、大きさを良く観察することが大切である。いざ手術となった場合は図‐5に示すように種々の要因を考えなければならない。まず重要なのは切離線のデザインであり、とくに肛門縁部に注目する。肛門皮下の痔核組織をunderminingc 、痔核組織を支持する縦方向のcushion 線維はなるべく切除しない。このことが後に術後いわゆる硬い肛門と柔らかな肛門の差となるので重要である。根部についてはしっかりと結紮しなければならないし、例え切除しても血流が無くなる訳ではない6)。痔核の切除後には、いわゆる開放型(Milligan-Morgan法)、半閉鎖型7)、完全閉鎖型8)がある。また内痔核を直腸側へ縦列に結び上げる方法(縦列吊り上げ法)も当院では行っている。出血は最も合併症として起こり易いので特に注意を要する。根部を2重に結紮したり、肛門上皮辺縁をかがり縫うこと、半閉鎖法を行うことにも出血対策の意味がある。
図-6
 実際の手術写真(図‐6)で見るように内痔核V度の痔核に対して、円筒スリット型(辻仲式)の肛門鏡を用いて痔核手術を行うところである。痔核をよく観察し、左下のようなデザインが肛門鏡無しの想定、右下が肛門鏡挿入した後の切離想定線である。この肛門鏡は切除する痔核だけを突出させるので左右に切り過ぎて狭窄を来たすことは皆無である。
 図‐7にシェーマで示す様に痔核脱出は実際には内痔核、中間痔核、外痔核から成り立って脱出することが多い。この様な場合の理想的な切離線を白線で示した。
 痔核の切除剥離は、内括約筋を露出させないその膜一枚肛門内腔側で進めるのが、両側切離線を根部まで切り上げずに袋状のままcushionを温存するのが大切である。また集束結紮する時にはペアン鉗子を用いて上方に吊り上げるように行うと、後の半閉鎖の距離も短くし得る。根部にはYammer Eckeと呼ばれるTriangle point (図‐8)が形成されるのが通常である。
図-7 図-8

 次に術後疼痛の要因であるが、種々なことが挙げられる。まずは内括約筋自体のspasm があり、その誘因として括約筋に針糸をかけてその内側にSubclinical infection を起こすことが考えられる。また当然開放創自体からの創痛もあり、残存痔核が血栓浮腫状になり疼痛をきたすこともあり、半閉鎖による横方向の緊張も排便時痛を起し得る。従って、痔核切除幅を狭くして緊張のかからない半閉鎖とするか、ドレナージが最良のMilligan-Morgan法(LE)とする。一方、もし病的組織が残存すれば腫脹して痛みに連がるであろうし、緩んだ肛門上皮が存在すればskin tagを来たし、痛みや不定愁訴につながることに注意しなければならない(図‐9)。
 最後に術後肛門狭窄についてみると、原因は過剰な切除につきる。痔核根部ではその高さをずらし、大きな集束結紮をしないことが大切である。また肛門上皮部では、痔核膨隆部の6〜7割の切除線として後はunderminingで除去することが望ましい。しかし、あまり徹底的にunderminingを行うと血流を損い、かえって瘢痕狭窄になることもある。最後に、肛門縁付近においては切除範囲を全周の1/2以下に止めるのが理想であり、肛門クッション繊維組織の温存と併せて、軟らかな2横指は十分入る術後状態を得ることができる(図‐10)。
図-9 図-10


参考文献
1) Morgan CN. Hemorrhoids and Their Surgical Treatment:a description of St. Marks Hospital operation for
   hemorrhoids. Surg Clin North Am 35:1457-1464,1955
2) 隅越幸男. 結紮切除術式と遠隔成績. 外科治療22:175−186、1970
3) 守谷孝夫. 私の内痔核手術. 消外10:445−449、1987
4) Milligan ETC, Morgan CN, Jones LE et al.
  Surgical anatomy of the anal canal, and operative Treatment of hemorrhoids ,Lancet 1119:2、1937
5) 辻仲康伸、浜畑幸弘、松尾恵五、自動縫合器を用いた痔核手術(PPH)臨床外科57:1481−1487、2002
6) 宇都宮高賢、柴田興彦、山辺素子ほか、
  痔核根治手術後の創部組織血流量の変動より見た創修治癒過程とその意義:
  日本大腸肛門病会誌61:481−488、2008
7) 岩垂純一、痔核治療法の適応と限界、日本大腸肛門病会誌56:785−790、2003
8) Ferguson JA. Heaton JR.
  Closed hemorrhoiddectomy. Dis Colon Rectum 2:176-179、1959
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