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TOPページ > 痔・大腸肛門病の先進的な治療法について > 直腸腟瘻
このコンテンツは、辻仲院長編著による医師向け専門書「大腸肛門病ハンドブック」から一部を抜粋して紹介
させて頂いております。
なお、専門医向けの内容であるため、一般の皆様には難解な記述もあり、文中にはリアルな画像が含まれて
おります。 ご理解の上、閲覧していただくようお願いします。
直腸腟瘻の診断と治療
 直腸腟瘻は先天性のものと、後天性のものがあり、直腸と腟に上皮を形成した瘻孔を言う。症状は患者により種々であり、例え存在しても気にならない場合もある。多くは腟から排便やガスが排出するが中には腟炎を併発し、炎症性の浸出液が出ることもある。診断は双指診にて直接瘻孔を触知するか直腸造影、または腟造影をガストログラフィンを用いて造影して確定する。直腸腟瘻の位置(高さ)、大きさ、肛門括約筋との関係を知ることは非常に重要である。クローン病もしばしばこの病気を併発するので注意を要する。診断しずらい時はタンポンを腟内に入れてメチレンブルーなどで注腸を行えばその変色によって確認される。直腸腟瘻はそれ単独ではなく、他の臓器、尿道、膀胱、後腹膜に通じていることもあり1)、特に骨盤内臓器の手術の際には注意を用意する2)
 直腸腟瘻はその部位により図‐1の如く、高位、中位、低位に分けられる。大きさは通常1〜2pものが多く、0.5p未満をsmall、0.5〜2.5pをmedium、2.5p以上のものをlargeと呼ぶ。
 直腸腟瘻の原因を表‐1に示す、この中ではTrauma(外科的手術を含む)によって生じる例が最も多い、特に出産時の外陰裂傷が高度の場合の不完全な縫合による低位の直腸瘻が多く3)、出産時の児頭の圧迫による中位、高位の直腸腟瘻も生じるが頻度としては少ない。
図-1 表-1 直腸腟瘻の原因

 治療は患者の症状に重点を置く必要があり、fistulaがあり、分泌物が少量なものは本人が気にならなければ放置しておいても良く、また自然治癒することが多い。しかし1pを越える例や特に低位の例では排便時の内圧亢進により多量の便汁とガスが腟より排泄されるため愁訴が強い。このような例では手術的修傷が必要となる。主な手術方法を表-2に示す。
表-2 直腸腟瘻の主な手術方法

図-2
 浅い会陰腟瘻はlay-openしても問題がない、前方痔瘻と同様に取り扱えるが、浅会陰横筋を貫いているものでは会陰体が消失するのでlay-openしてはならない。また同様に深会陰横筋を貫通するものは、setonを通しても治癒傾向を生じない。種々な手術治療があるが概ね3種類に分けられる。第1は図‐2のように直腸腟瘻を会陰を開くことによりその瘻管と上皮を掻破した後に、まず直腸粘膜、内括約筋、外括約筋、最後に腟粘膜を順次結節縫合閉鎖するもので、産婦人科を始め多くの外科で採用されている。
 しかしこの方法は時として浅会陰横筋の離開を生じて会陰体が消失するため、浅外括約筋の離開も加われば肛門機能不全となる。その場合は多くの症例で子供が成長してから前方肛門形成術を受けることが多い。
 手術の成功率は初回が最も高く、2回、3回になるに従って極めて困難になり4)、人工肛門を一時的に設置せざるを得ない例も多い。






 次に比較的中位で括約筋から離れている例では肛門内圧が低いため、図‐3のように瘻管を含めた直腸腟瘻全体をくりぬき切除し、直腸縫合、直腸腟中隔縫合を施行するものである5)。この場合の要点は肛門からの縫合のため十分なPreparation と術後管理が必要であり、早期にいきませないことと、直腸縫合と腟中隔の縫合を上下方向にずらせることが肝要なところである。
図-3

 次にsliding flap repairについて述べる。多くの外科医はこの方法が最良と考えているが6)、当時は直腸全層を4p幅に剥離移動して、原因となる直腸側入口部を被覆した。再発率は14%と報告されており決して悪いものではない。
(図-4、図-5)
図-4
図-5

表-3 難治性となった症例の割合
 現在では内括約筋の層から移動弁を作ることが主流となっている。前述のLowry4)がその主たる研究論文を著しており、当院でも採用している。その方法は後述する。これはまた外括約筋に影響がないので著しい肛門機能障害はないが、表‐3に示すように再手術を要したものは35%に達し、さらに10%は3 回目の手術を要した。
 直腸腟瘻は初回生じた時が最も根治し易く、再手術になると瘢痕組織と薄い粘膜のために、例え直腸移動弁修復を行っても低血流も加わって手術の成功率が悪化したものと思われる。
 最近になり直腸腟瘻にcollagenous fiberをcone状の詰め込み型にした製品(Cook社製)が誕生し、新しい方法として話題を呼んでいる。以上これら2種類の手術法について症例を図解して説明したい。

直腸移動弁修復術
直腸腟瘻を直腸側から確認している。肛門縁から1.5cm、直径5mm大くらいの開口があり、腟に貫通している。
図-7
直腸腟瘻の開口より外側1cmくらいのところに横切開をおき、左右も1cm以上の幅を取って内外括約筋間を剥離して直腸内まで遊離弁を作成する。
図-8
直腸移動弁(内括約筋を含み、直腸内輪筋と直腸粘膜を含む)を引き出して肛門縁および側方の直腸、肛門上皮に縫合することで直腸腟瘻の直腸側開口部を被覆する。腟側は縫合せずドレナージとして開口させたままで良い。
図-9

直腸腟瘻のFistula Plugによる修復
直腸腟瘻の直腸側からCook社製Fistula Plugを挿入する。長い円錐状になっており、大きさの種類も3種類あって、瘻孔の大きさよりやや大きなものを挿入すると良い。このプラグはbioprostheric lyophilized procine intestinal submucosaから作製されているため、人体の組織親和性が高い。
図-10
直腸内は4針固定する円板がついており、PDSU3-0で固定する。
図-11
腟開口部へFistula Plugをしっかり引き出してPDSU3-0で縫着する。
図-12
手術の完成模式図
図-13
 以上直腸腟瘻の主たる手術法について述べたが、その位置、大きさ、高さ、括約筋との関係に基づく理想的な手術法と社会生活を営む患者との極めて十分なInformed concent が必要であり、多くの場合一時的な人口肛門の造設は不可避であるとの認識を持つことが大切である。


文献
1) Tuxen PA,Castro AF. Rectovaginal Fistula in Crohn’s disease, Dis Colon Rectum22:58-62,1979
2) Petel DR, Shrivastav R, Nichols J. An unusual complication of rectovaginal fistula: Report of a case.
  Dis Colon Rectum 17:246-248,1974
3) Hibbard LT. Surgical management of rectovaginal fistulas and complete perineal tears , Am J Obstet Gynecol
  130:139-141,1978
4) Lowry AC, Thorson AG, Rothenberger DA et al. Repair of simple rectovaginal fistula, Influence of previous repairs.
  Dis Colon Rectum 31:676-678,1988
5) Hoexter B, Lawbow SB, Moseson MD. Transanal rectovaginal fistula repair, Dis Colon Rectum 28:572-575,1985
6) Russell TR, Gallagher DM. Low rectovaginal fistulas: Approach and treatment.Am J Aurg 134:13-18, 1977
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