診療概要

血便

誰でも、おなかの調子が悪い時があり、便秘にしろ下痢にしろ、いきみ(怒責)排便をすることがあります。
その際に過剰な圧力により、内痔核(肛門のクッション)が破れたり、肛門上皮が裂けたりして赤い血が出ます。排便後に便器をのぞいたり、拭いた紙に血がついて初めて血便であったと認識します。

血便を初めて経験する人は、大変驚くことになります。
日常から内痔核が排便時に脱出する人は痔からだと思い、排便時に疼痛を供っている人はきれ痔(裂肛)だと思います。人によっては、内痔核も裂肛も合併していることもあり、排便行為そのものが恐いと感じる人も多いものです。排便がイヤなものだと思うと、便をがまんする傾向が出て、便秘ぎみとなり、無理な排便、怒責(いきみ)でまた肛門内圧が上昇して肛門内の痔核を下方に脱転させたり、肛門上皮に横側の張力が過剰に加わって裂肛がまた生じることになります。痔疾患がある人は、このような状態をくり返していますが、我慢の限界が到来したり、他人に痔の相談をして治療を進められてやっと肛門科を受診することになります。

一方、日常の排便生活で、痔疾患を意識していない人は、「血便は大腸の病気だ」と心配することになります。大腸がんや大腸腫瘍、潰瘍性大腸炎や大腸憩室症も血便の原因となります。
また、細菌やウィルスによる感染性大腸炎によることもあるでしょう。コーヒー残渣様に黒っぽい血便なら、胃・十二指腸などの上部消化管からの出血も考えておかなければなりません。

このように消化管出血は、種々な病気から生じます。
腹痛、下痢、腹満などの症状をともなうことも多いのですが、大腸腫瘍などでは、血便だけという場合もあります。従って症状だけでは、病気の診断はできないことになります。
また今日では、40才以上の人に便の潜血反応を検診で行うように指導されています。
便潜血反応陽性の人は、やはり、血便であると認められます。これらの血便が何の原因から生じたのか、それをもっとも正確に診断し、一部の病変については、直ちに治療もできるのが、大腸内視鏡検査です。
この検査は、内視鏡医の技量の差が著しい事、症例が多いほど正診率も高くなる事、微小病変や珍しい病変の診断にも優位性があるから、大腸内視鏡検査の実施例が多い施設で内視鏡検査を受けるべきです。
早期がんであれば、内視鏡下切除術で治すことも可能な病変も多くあります。
また、少し進んでいるものでも、腹腔鏡下切除術で、低侵襲手術治療が可能な大腸がんも多いのです。従って、ミクロにしてもマクロにしても、痔疾患が基礎にあっても無くとも、血便があれば、即座に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

当法人の医療施設では、無送気軸保持挿入法(ストレート法)で苦痛のない大腸内視鏡検査を全体で年間20000件以上、実施しております。
内視鏡医は熟練するために、毎に研鑽を積んでいます。
血便で悩んで放置していてはいけません。
正確な診断と治療のために、早く受診されることをおすすめします。