婦人科

良性疾患を対象とした腹腔鏡手術に力を入れております

婦人科

当院では、婦人科全般の診療を行っております。

特に子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、月経困難症、慢性骨盤痛の診療に力を入れています。これらに対する腹腔鏡下手術を、「日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医」が行っております。また骨盤臓器脱(子宮脱)に関しては、当院の外科医師、泌尿器科医師らと協力して診療にあたっております。

更年期と骨粗鬆症に関する診療も行う一方、妊婦検診、分娩、生殖補助治療(体外受精胚移植)については取り扱っておりません。不妊症については一通りの診断と、子宮卵管造影、排卵誘発等を行っているほか、腹腔鏡下手術により、卵巣卵管の癒着を剥離し、卵管大量通水により卵管の通過性を改善し、妊娠しやすい状況に整えることを行っています。

主な診療対象

子宮内膜症、チョコレートのう胞、子宮筋腫、卵巣のう腫、慢性骨盤痛、月経困難症、月経異常、月経痛、骨粗鬆症、更年期障害、不妊症、妊娠反応確認、不正出血、女性の性病、外陰部のかゆみ、子宮頸がんワクチンの予防接種、子宮がん検診・精密検査

診療の特徴

当院では、次のような良性疾患を対象とした腹腔鏡手術に力を入れています。最近の手術件数は、診療実績をご覧ください。

子宮内膜症病巣除去術

当院山田清彦医師(婦人科部長、臓器脱チームリーダー)が開発した手術法「K863腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術」を用いています。子宮内膜症に伴う慢性骨盤痛(月経時期以外の腰痛、腹痛、排便痛、性交痛など)の治療法として有効です。

一回の腹腔鏡下手術において、この手術を追加するのに要する時間は、およそ5分から10分程度です(Five minute surgery)。

手術名

RUSPFODE:仙骨子宮靭帯,後膣円蓋,深部子宮内膜症病巣切除
(Resection of the Uterosacral and Posterior Fornix Deep Endometriosis)

卵管を再生する手術

卵管結紮術による永久不妊手術を受けた女性の卵管を再生するための腹腔鏡手術、すなわち腹腔鏡下顕微手術的卵管端々吻合再疎通手術(LMTR:laparoscopic microsurgical tubal re-anastomosis)を実施します。

骨盤臓器脱の手術

当院では、骨盤臓器脱の治療に力を入れており、当院の大腸・肛門外科医師、泌尿器科医師らの主導のもとに、経腟式のメッシュ固定術(TVM手術)、腹腔鏡下にメッシュで吊り上げる手術(腹腔鏡下仙骨腟固定術:LSC手術)の両者を行っております(詳細はこちらのページをご覧ください)。

このうちLSC手術を行う際には、後述する子宮腟上部切断術は、ほぼ必須の手技となっています。この他にも、外科疾患、泌尿器科疾患等において子宮、卵巣に異常がある場合、必要に応じて外科・泌尿器科手術と同時に婦人科腹腔鏡下手術を行います。

子宮全摘術と子宮膣上部切断術(子宮頸部切断術)

子宮は、子宮体部(上の部分)と子宮頸部(下の部分)からなる臓器です。子宮は子宮体部と子宮頸部はそれぞれ異なる機能を持っています。双方がそれぞれ上手く働いて妊娠、分娩が順調に運ぶようにできています。
  
子宮筋腫、子宮腺筋症は、子宮体部にできることがほとんどであり、子宮頸部にできることは稀です。これに対して、子宮がんは、頸部と体部にそれぞれ別な性質のがん(子宮頸部には子宮がん:多くは扁平上皮がん、子宮体がん:多くは腺がん)が発生します。

膣にできる傷の有無に違い

子宮腟上部切断術は、子宮頸部を温存し、子宮体部を摘出する手術です。これに対して、子宮全摘術は文字通り子宮全体(頸部と体部)を摘出する手術です。子宮全摘術においては、膣をぐるりと一周切ることで子宮から膣を分離します。すなわち膣には傷ができます。

この傷から出血があると、血腫(血のかたまり)ができることがあり、そうなると治療が遅れます。そうでなくても、膣の傷が修復され元の状態に戻るには、少なくとも2、3ヶ月かかります。その間は、機械的な刺激(性交)は避ける必要があります。

もし、膣の傷が裂けると(膣断端離解)と、稀ではありますがその奥の腹腔内にある腸官が膣から外に出てくることもあり得ます。血腫や断端離解は、従来の開腹手術や経腟式手術においても起こり得るとされていましたので、腹腔鏡下手術に特別多いというわけでもありません。

これに対して、子宮膣上部切断術では膣には傷ができませんので、傷の治り方を気に掛ける必要はありません。

尿管損傷のリスクに違い

肝臓から膀胱まで尿を運ぶ尿管という左右一対の管は、膣のすぐ脇を通っており、膣を切断する子宮全摘術においては、腹腔鏡下手術に限らず、開腹手術や経腟式手術においても尿管損傷の合併症に気をつける必要があります。

これに対して、膣を切らない子宮膣上部切断術では、尿管損傷のリスクは子宮全摘術に比べずっと低いとされています。

子宮膣上部切断術を勧める理由

前途のように、子宮は二つの異なった機能を持つ臓器が合わさった臓器です。子宮頸部に異常がない場合、それを摘出する必要はないといえます。子宮は女性の象徴であると考える向きもあります。子宮を摘出するということは、女性の象徴が失われるとの意味も含まれるとすれば、強い喪失感が伴います。子宮膣上部切断術は、子宮を全てなくすことはないという点では、喪失感は比較的軽く済むのかもしれません。
  
以上のような理由により、当院では悪性腫瘍(がん)ではない、子宮頸部に異常がない、子宮全摘の希望が強くないということを条件に、子宮膣上部切断術をお勧めしています。

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について

当科では、子宮頸がん予防ワクチンである、HPVワクチンを推奨しています。

子宮頸がんは年間約10,000人が罹患し、年間約2,800人の死亡者がでています。近年では20-30代の若い子育て世代の女性の罹患率が上昇してきています。子宮頸がんの95%以上にHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が関係していることがわかっています。

HPVは性行為によって子宮頸部に感染し、子宮頸がんを引き起こします。他に、外陰がん、腟がん、尖圭コンジローマなどの病気の原因にもなります。性交経験がある女性の8割がHPVに感染すると考えられています。

200種類以上の型があるHPVのうち、16/18型を予防するワクチン接種により、性交未経験者の場合は60-70%の子宮頸がんを予防することができると期待されています。諸外国では積極的にHPVワクチン接種をすすめており、ある国では、将来的な子宮頸がん罹患率は10万人に1人以下(現在日本では10万人に約14人)にできるとしています。

日本では現在HPVワクチンの接種率が0.3%未満です。このままでは、日本だけが子宮頸がん罹患率が高いままとなってしまうことになります。HPVワクチンは、2013年度から定期予防接種となり、小学校6年生から高校1年生(おおむね12-16歳)の女子は、市町村が契約する医療機関において無料(もしくは低額)で接種を受けることができます。当科でも対象の方には、HPVワクチンの定期接種が可能です。

もっと詳しく知りたい場合は、日本産婦人科学会のホームページをご参照ください。

当院で接種可能なHPVワクチン

  • サーバリックス(2価: 16型、18型) 2009年10月承認
    【接種スケジュール】
    十分な予防効果を得るには、3回接種が必要です。
    2回目は初回から1か月後、3回目は初回から6か月後に接種します。
  • ガーダシル(4価: 6型、11型、16型、18型) 2011年7月承認
    6型、11型は、尖圭コンジローマという性病の原因となります。 
    【接種スケジュール】
    十分な予防効果を得るには、3回接種が必要です。
    2回目は初回から2か月後、3回目は初回から6か月後に接種します。

副反応について

ワクチンの一般的な副反応として、接種部位の疼痛や発赤、発熱などの副反応がみられることがあります。また、まれにアナフィラキシー(0.1件/10万接種)や、ギラン・バレー症候群(0.06件/10万接種)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(0.04件/10万接種)などの重い副反応がみられることがあります。

以上とは別に、ワクチン接種後に広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動などを中心とする多様な症状が副反応としてマスコミなどで報道されました。しかし、これらの副反応も専門家の検討の結果、HPVワクチン特有のものではないと推測されています。

厚生労働省では2013年6月より現在に至るまで、HPVワクチンの定期接種の「積極的な勧奨(おすすめすること)」を一時中止しています(勧奨を中止しているだけで、定期接種であることには変わりありません)。ワクチン接種後に副反応が生じた場合は、接種した病院と、厚生労働省が都道府県ごとに指定している協力医療機関と協力しながら対応することになっています。

WHO(世界保健機関)のワクチンの安全性に関する委員会では、HPVワクチンの安全性に関しては、入念な検証を継続するとしているものの、有効性と安全性の比較では、有効性が優ると宣言しています。

ルネサンスと産業革命が女性にもたらしたもの

現代の女性の生活の質を阻害する要因には、排卵、月経という現象が深く関わっています。排卵とは、卵巣から、将来の子孫を残すための卵子が放出される現象です。排卵にともなって、子宮の中では、妊娠のために子宮内膜が準備されます。

しかし、妊娠しなかったときにはこれが自然に崩れ落ち、出血を伴って腟から外に排除されます。これが月経、生理という現象です。現代日本のほとんどの女性には、12歳前後から50歳頃まで排卵と月経があります。月に1回として、一生のうち約400回ということになります。

女性には定期的な排卵、月経がある事が普通である、と思っている方が多いと思われます。しかし多くの女性に定期的な排卵、月経があるようになったのは、そう古い事ではありません。実は200~300年前からのことなのです。

これは人類およそ500万年の歴史から見れば、ついほんの最近のことなのです。そのきっかけとなったのは、近代ヨーロッパに起こったルネサンスと産業革命です。以来、人類の生活環境と健康状態が激変しました。その結果、成熟した女性には、普通に排卵が起こるようになりました。

以後人口爆発が起こり、現在に至ります。これに伴い、女性は子宮内膜症、子宮筋腫、子宮体がん(内膜がん)、卵巣がん、そして乳がん、そしておそらく大腸がん等に罹患しやすくなったと考えられています。

したがって、これらは文明病ということにもなります。当院においては、これらの排卵と月経に関連する疾患について、生活の質を上げるための診療に力を入れております。

診療実績

婦人科の手術件数

  2017年 2018年 2019年
腹腔鏡下手術(患者数) 207 237 397
内訳(重複含む)      
子宮内膜症病巣除去術(RUSPFODE) 58 71 77
子宮筋腫核出術 16 22 14
子宮腟上部切断術 64 75 116
子宮全摘術 4 8 5
附属器腫瘍手術 49 56 58
仙骨腟固定術(LSC)
*併施手術を含む
*45 *57 *82
直腸固定術(直腸脱)
*併施手術を含む
*44 *44 *41
子宮附属器癒着剥離術 6 1 1
子宮外妊手術&卵管端々吻合(LMTR) 1 0 0
その他 9 4 3

※2019年度よりDPCデータから集計

担当医

 

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*担当医により扱う症例が異なりますので、併せてご確認ください。

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